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第七話 入院二日目 [第二章]

ボクはつい先日まで、ほぼ毎週のように県立の大きな病院に通っていました。



と言っても、何か悪いものが見つかったとかではありません。昨年の退院時に作ってもらった上顎の
義歯、つまりは部分入れ歯なんですが、これが少しずつサイズが合わなくなってきていたんです。



そこで、作り直しのために週に一度歯科・口腔外科に通っていましたが、ようやくそれも先週の金曜日
で終わりました ^^



ようやく新しい義歯が完成したということなんですが、毎週通っていると、最初にがんの宣告を受けた
時のことを思い出したりして、ちょっと複雑な気持ちになったこともありました。



この場合ボクの気持ちをどんな言葉で表現すればいいのか分かりませんが、歯科・口腔外科の中待ち
(待合室と診察室の間にある、次の診察の人が呼ばれて待機している場所)にいると診察室の中の
会話が聞こえてくるんです。



聞こうと思わなくても勝手に聞こえてきてしまうのだから、その内容によっては聞いてるボクの方が困って
しまうことがあるんです。



先日も先生と患者さんの会話が聞こえてきたんだけど、その内容はその患者さんの検査の結果が
がんだったというものでした。



ボクと同じ宣告を同じ先生から受けておられたんですね。



診察室から出てこられた方の顔を、まともに見ることはできませんでした。



そうかといえば、その反対に『検査の結果は大丈夫でしたよ』という先生の声と、患者さん?の大きな
安堵の溜息が聞こえてきたこともあります。



そんなときは心の中で『良かったね』と、素直に喜んであげることにしています (^^)



とにかく、いろんな声が聞こえてくるので、これで行かなくてもいいかと思うとボクもチョットだけホッと
しています ^^






さて、話を戻しましょう。入院2日目…つまり、ボクの手術の日です。



ボクは手術自体は以前に蓄膿症と膝関節の遊離軟骨除去で、他の病院で受けたことがあります。



ですから、多少は慣れているのかな?なんて思っていたんだけど、とんでもない勘違いでした。



何よりも病気自体が全然違うのと、今回の場合は手術時間が大変に長いんですね。



とにかく、その決戦の時はやってまいりました。



ボク自身ははっきり言って何も憶えてはいません。そりゃあね、麻酔をかけられて、気が付いたらもう
手術は終わっているんですから…



待ってた家族は大変だったことと思います。何せ6時間半も待合室にいたんですからね。
手術自体は5時間半ですが、手術室に入って麻酔をかけて…なんてやってると、大体1時間は余計にかかる



ボクが大変だったのは、手術が終わってからです。



後日こんなことを書いています。


7月16日(木) 記憶による 7/20書き込み
自分が癌であって、そのことを認めたくなくて、葛藤は続いていた。歯茎だけではなくて骨にまで…それって骨肉腫では?リンパ節に転移してるかも…それって悪性リンパ腫では???
もうどうとでもなれ…みたいな感じでもあった。そしていよいよ手術の時間となった。
喉の部分の呼吸補助具を入れているときは、部分麻酔なので会話も聞こえるし、その気になれば返事も出来る。
あっ、ちょっと、そんなに引っ張ったらちょっと痛い…なんて話していたような気がする。そして次に気が付いたときには手術は終わっていた。
呼吸がしづらい、苦しい、当然ながら眠れるわけがない。吸引しなければ息が出来ない。ナースコールは、そして処置は何故スグに来ない?今何時?さっきの処置から5分しか経っていないのか…
2度とこんな思いはしたくないと思った。そして、一晩中寝ずにこんな俺に付き添ってくれた紀子に対して、申し訳なくて涙が出た。ホントにありがとう。
眠られぬまま夜が明けた。呼吸補助具の具合が悪いのを看護師に伝えるが『先生に聞かなければ自分ではどうしようもない…』との返事。返事はいつも決まりきっている。先生にはいつ聞いてくれるんだ?と聞くが、『午前9時を過ぎると回診がありますから…』とのこと。ふざけんな、まだ午前5時半じゃないか…ってな感じで、ずっとイライラしながらその時を待つしかなかった。
その後やっと順番となり処置をしてもらうが、これがまた辛かった。痛かった。時間が経たない。紀子は仕事を休んだ模様、ホントにごめん。その後もこの日(17日)もずっと寝る事はできなかった。
ここまで記憶による。



口の中の手術であって、終わった後も縫合なんて出来ないものですから、ず~~っと血が出ているんですね。



だけどボクは動くことは出来ないし、口の中を吸引して血を取ってもらうしかできないんです。



そして、何かをしてほしくてもしゃべることが出来ない、声が出せないんです。これは、出血が肺に逆流
するのを防ぐために、呼吸の補助器具を装着させられて、人工呼吸のみで呼吸をしていたからなんです。



これが一番きつかったですね。



人工呼吸器による強制的な呼吸なので、その機械の動きに合わせて身体を動かす必要があるんです。



うまく書けないけど、呼吸器がボクの身体に空気を送り込んできた時には、それに逆らってはダメ、そして
ボクの身体から空気を抜く時はボクも吐かなければならないんです。



空気を入れる量も抜く量も決まっているものだから、肺の中に空気が残ってる時に空気を送り込まれたら
もう肺が破裂するんじゃないかと思うくらいに苦しかった。



そして、もう何も残っていないのに、更に吸い出そうとするものだから、それもまた苦しかった…そんな状態
でした。



出血が溜まり吸引してほしいのに、ナースコールをしてもスグには来ない、そして人工呼吸が苦しくて
仕方がないのに『頑張ってください』でおしまい、その不自由さを言葉にも出来なくて、もうどうにでもなれ
って感じでした。



そんな中、カミさんは一晩中起きて、結局は吸引の処置も看護師に交渉してカミさんがやってくれるように
してくれたんです。



そのときのことを思うと、カミさんには今でも頭が上がりません。





人工呼吸の補助器具は、結局調整というか、空気の流れる方向を一つ増やして、ボクの意思も呼吸器に
反映されるようになりました。



そして、口の中からの出血も少しずつ治まってきたんだけど、丸二日間、ボクはベッドの上でどうしようもない
痛みと戦いました。



その時のことを思うと、今もタバコはガマンできます ^^;



今回色々と痛い想いをしたけど、この最初の二日間が、まずは第一のヤマだったと思います。というか、
最初の二日間で全ての痛みの三割くらいは経験してしまったのではないでしょうか…




痛いお話は次回に続きます…






その時のカミさんへの感謝の想いがまだ残っているので、実はまた今度の日曜日から5日間、
沖縄の石垣島へ遊びに行ってまいります ^^;



毎週水曜日を目標に更新してきたこちらのブログなんですが、今度の水曜日は石垣島と重なって
しまうので、大変申し訳ありませんが、来週は休刊とさせていただきます。



ではまた再来週 (^^;







コメント(5) 

コメント 5

ちあこさん

何を言っても薄っぺらな言葉になりそうです。苦しみは当人にしか分かりませんし、苦しむ家族を見守る辛さもまたご本人にしか表現できませんね。

主人は病院で看護助手をあいてた時代もあります、療養型の担当ですからまた違うのですけれどもナースコールのあたりとかついダンナと重ねてみてしまったりも...

沖縄、一杯楽しんでらしてくださいね。晴れ男なかちゃんのパワーが発揮されますように
by ちあこさん (2011-07-07 08:32) 

ぐーちゃん

いたたたた、おなかが痛くなってきました、ふ~……。
手術の直後は、必ず苦しいはずですが、
口の中というのは格別大変なんですね。
40代のなかちゃんでさえ、こんなに苦しかったのだから、
ご年配の方なら、もっと苦しいことでしょう。
自分で意思表示ができなければ、なおさら。
なかちゃんの苦しさを奥様が代弁し、
状況が少しでも改善されて、ほっとなさったことでしょう。

石垣島、お天気がいいといいですね。
愛用のレンズももどってきて、楽しいご旅行となりますように♪
by ぐーちゃん (2011-07-07 08:42) 

なかちゃん

♪ご来訪くださいました皆さま、コメントありがとうございました (^^)



♪ちあこさん、おはようございます ^^
いえいえ、ホントは痛かったのよ…ということが伝わればそれで充分です。

へぇーー…ご主人が看護の仕事をしておられたことがあるんだ。療養型でも何でも、
患者のワガママなのは同じだと思いますので、大変さもきっと同じか、もしかしたら
それ以上かもしれませんよ ^^;
看護とか介護の仕事は、ボクにはきっと出来ません。

沖縄では、また頭のネジが切れるくらいに遊んでくるつもりです。
晴れ男パワーで楽しんできます (^^)



♪ぐーちゃんさん、おはようございます ^^
おなかが痛く…を読んで、あれ?何か笑わせるようなことを書いたっけ???なんて
考えてしまいました ^^;
いつも同じことしか書けないけど、今になって痛みもなくなったから書けるんです。
手術の後って、きっと何でも大変なのでしょうね…
ボクの場合はカミさんに助けられました。ホントに感謝です。

石垣島では、いろんなことをして遊んでくるつもりです。
レンズは…とうとう帰ってきませんでした (^^;



by なかちゃん (2011-07-09 19:04) 

horigon

遅れました・・・と言っても、今頃は石垣島か。いいなぁ。

付き添いは、家内の時に、嫌になるほど経験しているけど、男だからただそこに
いただけ。ついに、ノリちゃんのような心配りは出来ませんでした。

軽々にコメントすることなどはばかられるけど、その時があるから今があるわけで、
病院ご卒業、おめでとうございます。日延べにはなったけど、今度たくさん、消毒と
祝杯を上げましょう。
by horigon (2011-07-10 17:47) 

なかちゃん

♪先輩、こんにちは ^^
石垣より帰ってまいりました。こちらは何と暑いのでしょう?石垣島の方が絶対に
涼しいですよ ^^;

そういえば先輩はママさんの付き添いをずっとしておられたのですね。
大変なことだと思います。ボクにはとても無理だと思います。

消毒と祝杯、今からとても楽しみです (^^)



by なかちゃん (2011-07-16 15:16) 

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