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第六話 入院初日 [第二章]

ボクが最初に富山県立中央病院で診察を受けてから57日目の7月15日に、ボクは入院しました。



いろいろと悩むことはありましたが、悩んでいても仕方がない…手術を受けるための決意も固め、自分なりに
納得ずくでの入院のつもりでした。



つもりというのもおかしな話ですね。



でも、具体的に何かが違っていたとかいう訳でもありません。



ん~~ん…何のことはない、単にボク自身が強がっていたんですね。



何が?なんだけど、次のを読んでみると何となく『強がってた』のが自分で分かります。



7月15日(木) 記憶による 7/20書き込み
確か絶好調だったと思う。病室も田尻氏に仲介を頼んだお陰で希望通り個室となったし、ホントに病人か?ってくらいにいろんな物を部屋に持ち込んだ。時間を見つけては外に出てタバコを吸ったりして時間を過ごした。
午後9時以降絶食ということで、病院での夕食後にまたパンを食べたりした。そして午前0時以降は絶飲食とのことなので、思い切り水分を摂った。普段は飲まないコーラなども飲んだ。そして寝た。



こんなことを後からの思い出しで書いています。



普段は何を食べたとか何を呑んだなんて、全く気にもかけていなかったはずなのに、やはり気持ちはかなり
不安だったのでしょう。






入院するまでの検査の段階でも、ボクは割と絶好調でした。



『鼻から管を通しての流動食となります…』という先生の説明にも、『先生、たまには肉も流し込んで
くださいね』とか、『先生、週に一度くらいはビールを入れてください』とか…



診察中にそんなアホな話をして先生や看護師さん達を笑わせたりしてたのも、裏を返せばホントはとっても
不安で仕方がなかったのだと思います。



不安といえば、ボクが最初に診てもらった耳鼻咽喉科の先生と、実際に手術をしていただいた先生は違う
先生だったんです。



これは検査の途中で明らかにされたんだけど、最初の先生は40才チョイと手前くらいの『若手のやり手』
みたいな先生でした。



ある日検査で耳鼻咽喉科外来に行ったら、違う先生の診察室に呼び出されたんです。



『OO先生は手術当日に出張が重なってしまったので、主治医を交代します。』という説明をされたのですが、
その後任の先生というのが40才代半ばくらいの、いかにも経験豊富といった感じの先生でした。



その先生の名札に書かれていた『耳鼻咽喉科・医長』という肩書きがホントに頼もしくて、普段のボクなら
途中で担当が変わるなんて聞くと大変なんだけど、安心して説明を聞いたように憶えています。



別に先の先生では不安だったというわけではないんだけど、何ともいえない安心感に包まれました。



そして、ほぼ同じ説明をもう一度聞いたのですが、また同じジョーク『たまには管からビールを入れて…』を
言ってしまいました ヾ(ーー )





そんなこともあったりして割と安心して病院に入ったんだけど、普段大きなことを言ってる割には『何と気の
小さい男なんだ?ボクは…』というのが自分で分かりましたね ^^;



入院した日に、こんな紙がボクに手渡されました。
入院診療計画書

入院診療計画書という書類なんですが、今後の治療日程等が書かれた紙なんです。



この中に1ヶ所、ものすごく気になる部分があるんです。さぁ、どこでしょう???

入院診療計画書

入院診療計画書

こちらの中にありますが、これではまるでリンパ節に転移しているように見受けられます。



入院前の説明では、『リンパ節に転移があるかもしれません。用心のために摘出して検査します。』との
ことでした。



『いきなり話が違うんでないの?』と思った、これがまずはショックでしたね。だって、転移の可能性がある
というのと、転移があるというのでは、聞く方とすれば100万倍くらいにショックの大きさっていうのは違う
ものなんですよ。



まぁ、どれだけクドクド書いても、こればかりは実際に自分の身に降りかからないと、その事の大きさは
分からないかもしれませんね。ボク自身この時にはショックを感じたのだけど、今同じことを聞かされても
きっと『ふ~~ん…』程度のことだと思います。



また、誤解のないように今の内に書いておきますが、リンパ節に転移は無かったとのことでした。



手術で取り除いたリンパ節を全て検査したけど、それらしきものは見当たらなかったと聞きましたので、
まずはめでたしめでたしだと思います ^^;



何はともあれボクは入院しました。そして次の日から手術や治療の日々が始まるんだけど、入院初日と
しては割と気持ちよく寝たような気がします。



次の日からホントに辛い、地獄のような日々が始まるということも知らずに…



まるでそれは『嵐の前の静けさ』と呼ぶのにピッタリだと思います。






さて、これを書いてて思うのですが、人の記憶というのは真にいい加減なもので、ボク自身いろんな書類が
残っているからこそ思い出すことができるんだと思います。



これでホントに記憶だけに頼っていたら、まるで何も残っていない、『なかちゃんのスカスカ闘病記』とかに
なってしまいそうです。



ホントに辛い地獄のような日々…一体どんな日々なのでしょう?



ビールが呑めないから???肉が食べられないから?????



そんな単純なことではありませんが、次回に続きます (^^;







コメント(4) 

コメント 4

ぐーちゃん

私は盲腸の手術すらしたことなく、
病院に入院したこともありません。
病院でいろいろ診断され病名を告げられる、
それだけで、なんと不安なことでしょう。
「リンパ節に転移があるため」と書いてあって、
切って病理検査をしたらなかった、なんてあるんですね。
切除して取り除いても、抗がん剤の治療もあるの?
つらいことを、よく思い出す気になりましたね……。
by ぐーちゃん (2011-06-30 17:33) 

horigon

リンパ節の件、何事もないと聞いていたので、少し驚きました。
医者は、何気なく書いたつもりでも、確定的に書かれるのと、疑いと
書かれるのでは、天と地ほどの差があると分かっているんでしょうか。

人間は、どんな辛いことでも忘れてしまいますよね。
僕は、ほとんど、なかちゃんの辛さも分からなかったような薄情な
友人ですが、ある意味、その辛さを忘れられるから、人間は精神の
均衡を保てるのかも知れません。
by horigon (2011-07-01 08:49) 

ちあこさん

ワタシ、過去に2度入院の経験あり。幼稚園に上がる前のころは記憶に殆ど無いけれど、親の心配はいかほどだったのかと今なら思えます。
2度目は結婚して直ぐ、主人も居ないときに急性の胃腸炎で動けなくなり意識も朦朧。本当、どうなるのかと思いました。これまた散々周りに迷惑と心配を掛けました。
人の記憶は良く出来てきて、つらいことも自然と薄らいでいくようです。こうして自分を振り返ったのはなかちゃんのおかげですね。

それにしてもリンパ節の文章、説明と大違いすぎてそりゃぁ驚きます。転移ってものすごく悪そうな感じですもの。

それにしても強がりのジョークにしては冴えてます。笑っちゃいました
by ちあこさん (2011-07-06 17:17) 

なかちゃん

♪ご来訪くださいました皆さま、コメントありがとうございました (^^)



♪ぐーちゃんさん、こんばんは ^^
ぐーちゃんさんはとっても健康なんですね。うらやましいです。
こんな『可能性があります…』という検査のはずだったのに、紙には転移としっかり
書いてあるなんて、ボクもビックリしました。
ホントにこんなこともあるんですね (^^;



♪先輩、こんばんは ^^
実はボクもその時は可能性としか聞いてなかったし、紙を見たときはビックリでした。
最終的には何事もないということだったので良かったんですけどね ^^;

ホントに辛いことは忘れてしまえるからまだいいですね…
ただヤバイのは、最近辛くないことまで忘れてしまうってことですね ヾ(・ε・。)
楽しいことも忘れるようになってはイカンと思います (^^;



♪ちあこさん、こんばんは ^^
あら?ちあこさんも入院されたことがあるんですか???幼稚園に上がる前だと、
確かにご両親は心配されたことだと思います。
2度目はご結婚直後なら、今度はご主人がご心配になられたことでしょう。
みんないろいろと大変な想いをしておられるのですね…

リンパ節に転移があるのとないのとでは、5年後生存率が全然違ってくるとのこと
なので、何ともなかったと言われたから今はこんな顔をしているんだけど、当時は
ホントにショックでしたよ…
先生に言ったジョークは、先生も看護師さんも、カミさんまで大笑いしてました (^^;



by なかちゃん (2011-07-06 18:26) 

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